命の声

僕は暗闇の中 陽の当たる場所を夢見て
羽根を広げるその日まで力を蓄えてる
ただ待つのが辛いかと聞かれたら
辛いとは何だ?と答えよう
分かってる今僕の居るべき場所が
居続ける場所では無い事
冷えた土の冬 暖かい土の春
湿った土の6月 何度巡り巡り暑い土の7月
我慢出来ぬと飛び出した8月

ミンミンミンミン……僕は鳴く
溜め込んだ力を声にして
今の僕に恐いものなんて無い
sunsunsunsun……照り付ける太陽
ここが待ち焦がれた場所だ

僕は喜びの歌を身体中で響かせてる
休む暇なく弾ける声で
街の音にも負けたく無い
何故鳴き続けるのか?と聞かれたら
これが生きてる証!と答えよう
分かってるたとえ何を言われたとしても
鳴く事だけが出来る事
熱い木にしがみつけ喉枯らせ身を焦がせ
土に帰れ力尽き泣き終えた死骸
次は僕の番だ逃れる術は無く

ミンミンミンミン……僕は鳴く
ポトリポトリと落ちて行く
今の僕に下を向く暇は無い
リンリンリンリン……交わる鈴の音聞こえれば
終わりの合図土に還る

命の声は季節の風に
少しずつ掻き消され
何事も無く消え逝くのはゴメンだ!
まだだまだだまだだまだ鳴ける!

ミンミンミンミン……僕は鳴くミンミンミンミンミンミンミン儚さと戦いながら
ミンミンミンミン……ミンミンミンミン……ミンミンミンミン……
ミン…ミンミン…ミ

僕は泣く